介護の現場では、スタッフ同士はもちろんですが、介護利用者やその家族といかに良好な人間関係を築けるかも大きなポイントになります。
介護を受ける側からすれば、他人から知られたくないことや、見られたくない、或いは触られたくない部分を介助されるわけであり、人間としての尊厳を守るにはよほど信頼のおける人に介助してもらいたいと思うのは当然です。
また、その家族からみても信頼できる人に介護を任せなければ安心できないでしょう。
このように、安定した介護サービスを継続して提供するには一方的なサービスの提供では不可能であり人と人との深い信頼関係が必要なります。

そのために、最も重要なポイントは「共感的理解」です。
介護をする者は、介護利用者の心身の状態をはじめそれを取り巻く環境や日常生活について利用者の目線から理解し寄り添います。
そして、お互いに生きる人間として支え合うという共感的理解こそ良好な人間関係を築くのには不可欠といえるでしょう。

共感的理解が成立したら、次に大切なポイントが「無条件の肯定的態度」です。
これは、利用者のどんな態度や感情に対しても介護者は自らの値観や審判的な態度から一切離れて、それを肯定的に受け入れるというものになります。
こうすることで、利用者に対して偏見を持たずに相手の感情や内的世界に寄り添うことが可能になるのです。
ただし、無条件に肯定的態度を示しても、それが不自然なものであっては、介護される側も不信感を募らせ円滑な人間関係は成立しないでしょう。
そこで、介護者は常に純粋な気持ちで利用者に共感しながら肯定的態度を実行することが要求されます。
介護者は自らの言動や態度に内心の状態を一致させる姿勢こそが、良好な人間関係を維持するには必要なのです。